こんちくわ!Shygonです!
今回は2018年上半期の中でも注目株の映画
バトルオブセクシーズ
を熱く語ります!
2018年に製作された本作は、1972年に実際に起こった有名テニスプレイヤーの男女がコートの上で熱い死闘を繰り広げた事実がもとになっています。
実際に実在し選手としても有名であり、男女同権を訴えていたビリー・ジーンキング(29歳)と男性優位主義者の元テニス選手ボビー・リッグス(55歳)の「性別を越えた戦い(バトルオブセックス)」を50万人以上がテレビの前で見守りました。
カリスマ同士の正面衝突の背景とは?
1970年当時、アメリカでは圧倒的に男性社会であり、女性は家庭を守り、男性の世話をするもとと思われていました。
これはアメリカに限らず、日本でもつい最近まで行われていたことですが、プロスポーツ界もその例外ではなく、特に賞金では男女間でかなりの格差が生じていました。
その風潮を変えようと男女同権を訴えるひとりの女性、ビリー・ジーンキングがいました。彼女は選手として既に名声を得ており、女性のカリスマ的存在でした。
そこに男性優位主義者の元テニス選手ボビーリッグスが彼女にチャチャを入れ始めるのです。彼の成すこと全てドが過ぎていたのです。
インタビューでは「女は料理とベットにいるときだけだ」と発言し、自らを「ショービニスト(男性優位主義者)」と称するなど男女間の対立は白熱さをどんどん増していきました。
ビリー・ジーンキングは必死にその賞金格差をテニス界にも訴えましたが、関係者らは「女のテニスは迫力がないし、つまらない」などと言われ、ボビー・リッグスには「55歳の俺でも女には勝てる」などと言われる始末でした。
そこで女性の権利向上のため自らこの無謀ともいえる、前代未聞の戦いに挑むのです。
公式戦ではないため、試合までビリーはあぐらをかき、様々なことを仕出すのです。55歳にも関わらず、フルヌードになってキングをおちょくり、女装でテニスをし、そして「女性差別のブタ」と書かれたTシャツをきるなど、徹底的に女性を罵倒したのでした。そしてついて前代未聞の男女間の未来を賭けた試合がはじまるのです。
この試合が後世に与えた影響
ここからはネタバレになりますが、公式戦でもないただのテニスの試合に全米が注目する結果となりました。
それはテニスの試合以上に男女平等を訴える女性とそれを阻止せぬとする差別主義者の戦いでもあったのです。
映画の中で、ボビー・リッグスのスポンサーとして出てきた「シュガー・ダディー・キャンディー」の創設者のロバート・ウェルチも極右主義者をして知られ、この試合は女性陣としては勝つこと以上に意味のある試合でもあったのです。
テニスの試合は白熱した展開が繰り広げられ、ビリー・ジーンキングの圧勝で幕を閉じたのです。
この結果は女性を奮い立たせ、女性は男性の補助で、社会の表に立つ必要はないなどの古いしきたりに「ストップ!」をいう出来事のきっかけだったのかもしれません。
そして、ビリーが入場曲として使っていた曲「I am Woman」はその年の大ヒット曲になったそうです。
2人のカリスマを演じきった俳優たち
ビリージーンキング役はエマ・ストーンが演じました。本編通じてノーメイクで演じ、そして実際のテニスを打ち合うシーンはCGではなく、実際に練習し撮っていたそうです。
彼女は前作「ラ・ラ・ランド」でアカデミー主演女優賞に輝いた人です。
前作「ラ・ラ・ランド」でハリウッドで女優を夢見る女の子を演じ、「女王陛下のお気に入り」ではアグレッシブな悪女を演じるなどここまで逆方向の演技まで完璧にこなせるのはまさに天才です。
ボビー・リッグス役はスティーブ・カレルが演じ、その表情、顔全てが本人と引けを取らないまさに絶賛すべき変わりようです。
彼はこれまで「40歳の童貞男」などのコメディ映画から「バイス」や「ビューティフルボーイ」などの社会派ドラマまで演じきる俳優さんです。
そして、監督です。本作はジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスの夫婦が務めています。彼らは本作の他にも2006年公開の「ミス・リトル・サンシャイン」などで知られています。
女性の権利向上のため戦ったテニスプレイヤー
いままで本作を一通り全容を説明してきましたが、ボビーリッグスの人物像を理解して何か現在に通ずるものあるかと思いました。米国大統領トランプ大統領です。
インタビューの中で、監督は当時ヒラリー候補とトランプ候補で大統領選をしていたとき、本作と共通する部分があると答えていましたが、彼が大統領になり、再び男女間の差別というものを考えるべきときが来たのではないでしょうか。
本作は数十年前の話を映画化しただけではありますが、その当時と状況は変わってなどいなく、トランプのような人が国のトップになってしまったいまの世の中を見直すという意味で、この映画を通して考えるべきです。
そして、2017年半ばにハリウッドを驚愕させる出来事がもう一つ起こります。大物プロデューサー、ハーベイワインスタインの長年に渡ってのセクハラが暴露され、それに伴って多くの大物が芋づる式で明るみになりました。
多くの女性が#MeTooと被害を訴える一大事に発展しましたが、そんな男女間の差別も本作「Battle of Sexes」にも訴えかけてるのです。
いまハリウッドが抱える解決せねばならない問題に対して、本作はダイレクトに訴えかけているのです。
2017年夏公開の「ワンダーウーマン」はヒーロー映画の枠に留まらず、女性を鼓舞する映画としてものすごく脚光を浴びましたが、本作も今年を彩る映画の一作になったのは間違いないでしょう。
ひとりの女性が数十年前に訴えかけたかった男女同権。そんな彼女が求める世界はいつになったら訪れるのでしょうか。
男女同権に社会が近づく一歩として、セクハラ問題は人々の認識を変え、本作はその動きに間違いなく加担したでしょう。
本物のビリー・ジーンキングはその後10年以上にわたる女性との不倫が明るみになり、世の中からバッシングを受けることになりますが、本作では彼女の最後が描かれることはなく、あとがきにも一切そのことは触れられていませんでした。
びぇ!