Netflix製作の18本からなるオムニバスシリーズ。この挑戦的なプロジェクトには、有名監督やプロデューサーが多数参加する。
「デッドプール」のティム・ミラーや「セブン」で知られるデヴィット・フィンチャーなどが参加。
だが、このシリーズは有名監督が製作に連ねるんだよ!とゴリゴリ押してくる感じではなく、明日に繋がる最前線のアニメの技術が使われているのが特徴。
アカデミー長編アニメ賞を受賞し、画期的なアニメ技術が駆使された「スパイダーマン:スパイダーバース」の技術班や「アベンジャーズ」を手がける製作チームまで参加を表明。
では一部の作品の感想を。
ソニーの切り札
17分の短編アニメで、ダークな世界観とアメリカのアニメのよう。地下競技場で、残忍な猛獣たちが死ぬまで戦う。猛獣たちをロボットのようにひとりのプレイヤーが操り、熱狂的な観客たちの叫び声が会場を覆う。
主人公は憎しみや恐怖に満ちた女の子。過去の辛い経験から復讐のため猛獣とともにリングに立つ。湾曲した愛、憎しみ、そして恐怖。誰も恐れず、勇敢に立ち向かう彼女は死をも恐れず死ぬか生きるかの戦いに毎戦挑む。
ロボットトリオ
12分の短編アニメで、ピクサー作品のような鮮明で綺麗なアニメ作品。3体のご気楽なロボットたちが人類が遺した後の地球を散策する。くだらないジョークを飛ばしながら人間が送っていた生活の一部を楽しむ。
バスケットボールを娯楽用球体と呼んでバカにしたり、口のことを開口部といってみたり人間を卑下する。
バカな集団だから、人類は絶滅した。そんな人類が辿った過ちを面白おかしく語る。
目撃者
12分の短編アニメで、「スパイダーマン:スパイダーバース」のようなアメリカンコミックスをそのまま映像化した、いまはやりの作品。
近未来の中国を舞台に、自宅の窓から偶然殺人現場を見てしまった若い女が、犯人に追われる話。客層層が限定されるかなりマニアックな趣味をしたストリップグラブでの豪華な踊りシーンや、ライブ感強めのアメコミ仕様のアニメ。
12分の短編では、かなり内容が詰まっており、最後のオチには絶句。お気に入りの作品のひとつ。
スーツ
17分の短編アニメで、自作のロボットを自ら操縦し、エイリアンの侵略を防ぐ。アメリカ中部を彷彿させるようなのどかな農場に、巨大な男。
舞台設定は一切語られることはなかったが、現代のアメリカ中部を舞台に、人間たちはバリアの中に住んでいる。突如としてバリアを破って侵入してきたエイリアンとの生きるか死ぬかの騒然な戦いと感動の物語。
魂をむさぼる魔物
13分の短編アニメで、作風は「AKIRA」を彷彿させるダークな世界観を雑な描写で表現する。トレジャーハンターのようなアドベンチャー物語で、伝説のなにかを探し当てる。
考古学的な観点から古代文字を解読するも、突如現れた魔物に、仲間が倒れる。謎の魔物と生死を分けるレースを大胆に描きながらも、そんな主人公たちが感じる心情描写も忘れない。
ヨーグルトの世界征服
6分の短編アニメで、アメリカのチューン風なSF物語。度重なる研究の結果、ヨーグルトが意識をもちはじめる。AIが学習するように、ヨーグルトが人間を超越し、政界進出までしてしまう。
革命的な政策の末、人間は豊かな文明を築き上げるも、ヨーグルトに全ての権限を握られる。
これまでSF作品として、AIが人間を超越し、コントロールするようなディストピア的な世界はよくみてきたが、それがヨーグルトに。ちょっと面白い発想だ。
びぇ!