よくある傷だらけのふたりの恋愛物語。
まさに題名の通り40年間なにも考えずに生きてきた借金取りと、父親の看病のため借金がある銀行員女性の恋愛映画。
本作ほど王道感満載の恋愛映画はなく、恋愛映画好きには、熱狂するポイントがいつくもある。
自由奔放に生きてきたどうしようもない男が運命の女性になると、激変する。これまでの行動をさっぱりやめ、一直線にその女性のことを想い続ける。
これまであれほど人から嫌われそうなことをやってきた人間が、急に初恋に落ちた小学生のように可愛く見える。
はじめは売れないギャングスターのような格好をし、ズガズカ他人の領域に入ってくるアホなど、女性は好きじゃない。
それでも諦めが悪い馬鹿は、小学生の絵描き教室レベルの絵に何個もの四角の箱を描く。
"これが全部埋まったら借金帳消しにしてやる。"
"一日1時間会うたびにこれのマスが一個埋まるよ。"
という謎すぎるデート文句をつける。
大ヒット韓国映画『頭の中の消しゴム』に本作は非常に似ている。主人公の男が、性格も良いイケメンか田舎の40過ぎのイタいギャングもどきかの違い。
初恋の女性を見つけ、やっと自分も幸せな家庭が築ける、これまで弟の家庭にいい年をしながら迷惑をかけ、自分は好き勝手やっている。
そんな人生の変換期をやっと迎えるのにも関わらず、災難が起きてしまう。主人公はすでにガンに犯され、生きれても半年と宣告される。
なぜ人間は平等じゃないだ??と神さまに聞きたくなるくらい、絶妙のタイミングでその仕打ちを受ける。
韓国映画を少し見てみようと最近よく見ているが、はじめはなぜこれがアジア全土にウケているかさっぱりわからなかった。
いっつも韓国映画に出てくる主人公女性は、恵まれない元気な女の子。そして、その主人公の周りにいる女性はみんな本当に性格が悪い。
たぶんこれを見て、世界中の僕を代表して男性どもは"韓国の女性可愛いし、頑張り屋じゃん!"と勘違いするかもしれないが、よく考えて欲しい。
主人公以外キレイに性格が鬼悪い。
つまり韓国の女性は気が強いのだ。
これ以上いうとディスったと思われるので、言葉を頑張って選んだ結果気が強いという表現が適切かと。
そういう観点で考えると、本作は意地悪してくるほかの女性が出てこないので、主人公ふたりにだけフォーカスできる。
主人公のヒロインが土屋太鳳にそっくりで見分けがつかないほどでびっくりした、というのが本作の1番の感想なのかも。
邦画君の膵臓を食べたいも、主人公の女の子は癌に侵されるも、他人に気を使わせないくらい元気に振る舞い、自分の病気を隠そうとする。
昔好きだった吉高由里子主演のドラマ美丘でも、同じような女の子が病気ながら、必死に生きる希望を探す物語であった。
そんな病気がある子元気なわけがないや、病気の子がこんなに可愛いわけがないとかいう意味のわからない批判をまたに見るが、こんな恋愛映画で行われることなど現実になるなんて思わないほうが良い。
現実的かどうかの話ではなく、その映画やドラマを通じて、病気ではない人間が生きる希望や生きることについて考えるキッカケになれば、そのドラマの存在意義はきっちり成立する。
だってもしいい年したおじさんが必死に生きることを訴える映画見たって、誰も見ないでしょう?
例に挙げた二作も両方ともヒロインがとても綺麗。綺麗だからみんな見る。じゃあこの映画はどうか。いい年したチンピラおじさんがガンに侵される。
でも映画としてとても面白いし、共感してしまう。他の映画がしてこない角度から生きる希望を描こうとした異色な作品なわけ。
とても美しかった。
びぇ!