こんちくわ!Shygonです!
今回はサッカー観戦をしたいイラン女性を描いた
オフサイドガールズ
について熱く語りたいと思います!
2006年に製作された本作は、女性が男性の競技を観戦できないイランを舞台に、サッカー観戦をしようとする女性たちを描いた作品です。
イランの巨匠ジャファール・パナヒ監督がドキュメンタリータッチで、いまのイラン政府を風刺します。
度重なるイラン政府の批判から、自宅軟禁と映画製作を禁止されているパナヒ監督が仕掛ける話題作。
サッカーが観たいという気持ち
中東に位置するイラン。日本からあまり馴染みがなく、ただ治安が悪いと思われがち。でも実際にお隣のイラクとは違い治安は悪くはないらしい。
ただ日本には、イランが一体どんな国なのかがイマイチ見えてこないのも現実だ。言論統制がいまだに続いており、数多くの著名人がイランから脱出し、移住をしているものまた事実としてある。
そんな先行きが見えないイランで唯一と言っていい、イラン国内で活動を続ける監督がいる。それが本作で監督を務めたジャファール・パナヒだ。
本作がはじまるとき、こんな字幕で本作は幕を開ける。
"イランでは女性が男性の競技を観戦できない。"
"本作は2005年6月のワールドカップ最終予選"
"イラン対バーレーン戦の最中に撮影された。"
サッカー観戦を女性ができない!?日本では信じられない光景たが、イランではそれが普通だ。女性軽蔑やイランに蔓延る裏の実情を切り取る。
数々のイラン政府への批判で、パナヒ監督は20年間の映画製作の禁止、そして自宅軟禁に課せられた。それほど彼は命をかけて、イランの実情を国内外に訴えている。
男性のような格好をし、帽子を深く被る。全てはサッカーの観戦をしたいがために、一般的な女の美を捨てた女性。
イランでは、イスラム教の女性がかぶるアヤバと呼ばれる顔を隠す布をわざと外し、男性になりきる。サッカーを見るために。
正直日本の感覚からすると理解できないが、そんな馬鹿げた考えがいまもイランには根付く。宗教的な考えを否定したくないが、時代の変化に伴って、柔軟にルール改正をすべきでないか。と本作はさらっと訴えているように思える。
サッカー場に横に併設する簡易的な収容所には、サッカー場に入ろうとした数人の女性が、囚われていた。
男女の固定概念がきっぱり存在し、女性がしていいこと、男性がしていいことが明確に存在する。
トイレに行きたいと言っても、女性自体がサッカー場にいることがまずいからと、サッカー選手の紙を被って顔を隠す。
もう見ていて、馬鹿らしくなって思わず笑いが溢れる。でもこんなふざけたことがいま実際に、世界のどこかで当然のように行われている。
言論統制がいまだに行われ、イランの実情がどうなっているのかが、正直わからない。ニュースで画面を通してみるイランと、実際のイランは180度異なっていると考えてもいいくらいだ。
そんな本来のイランを観察する意味でも、イラン国内から描かれるイランの実情ほどインパクトのある映像はない。
自身のキャリアを捨ててでも、命を張って描き続けるパナヒ監督の自国にかける思いがいまわかるような気がする。
そんな一風変わった作風に、アッと驚くようなイランの実情を描いた本作は、ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)に輝いた。
パナヒは2015年に発表された「人生タクシー」で金熊賞(最高賞)を受賞した。そんなイランのみならず、世界から注目されるパナヒ監督がイランのサッカー観戦を題に、イラン政府に宣戦布告する。
びぇ!