こんちくわ!Shygonです!
2019年のアカデミー賞が現地時間の2月24日に行われました。
その全ノミネート作品を観て、予測をした筆者が第91回アカデミー賞のハイライトをします。
アカデミー賞授賞式を見ていなくてもこれだけみれば大丈夫!
さんざん外したアカデミー賞の結果の予想をした記事はこちら
*授賞式で実際にあったことをまとめました。なお、青文字の映画に関してはクリックすると、その映画の解説ページに飛ぶので、ぜひお読み下さい!
2019年アカデミー賞の総括
例年同様、大手メディアの予想とはるかに違った受賞結果でした。
最多10ノミネートを獲得した女王陛下のお気に入りとROMA ローマは撃沈‥
女王陛下のお気に入りはたったの1部門(主演女優賞)の無残な結果で終わり、ROMA ローマは3部門(監督・外国語映画・撮影)の受賞。
おおかたの予想では、この2作品が賞レースを牽引する予定だったのだ。
18世紀のイングランドの宮殿を豪華にかつユーモアたっぷりの演出で観客を魅了した女王陛下のお気に入りは衣装や美術など装飾部門で圧巻する予定で、ROMA ローマは技術部門を牽引するはずだった。
この2作品は予想とかけ離れて悲惨だった。これら部門をかっさらった映画は「ブラックパンサー」とボヘミアンラプソディーの2作品。
「ブラックパンサー」はアクション映画&公開時期が去年の2月と約1年前だったので不向きだと思われていた。
ボヘミアンラプソディーは日本でも大ヒットしたが、批評家目線ではボロボロ&監督のセクハラ問題が取り糺され、オスカーの受賞は不可能だとされていた。
ただそんな逆光を跳ね返し、「ブラックパンサー」は3部門の受賞を果たし、ボヘミアンラプソディーは最多4部門を果たした。
女王陛下のお気に入りが取るはずだった装飾部門を「ブラックパンサー」に見事に取られ、ファーストマンなどが取る予定だった音響関連部門はボヘミアンラプソディーに奪われる結果に。
作品賞は大本命の「ローマ ROMA」を打ち崩し、グリーンブックが見事受賞。「ローマ ROMA」の次に可能性があり、ハリウッドが好きそうなストーリー展開にわかりやすいカラクリが順当に評価された。
ROMA ローマのNetflixが製作したという唯一の不安要素を乗り越えることができなかったですね。ただ監督賞は斬新な作風と監督自身の経験を重ね合わせた独特の映画が評価され、アルフォンソ・キュアロン監督が2度目の受賞。
グリーンブックの面白いところは、同作品の監督を務めたピーター・ファレリー監督が監督賞にノミネートすらされていない。通常作品賞と監督賞は関連性があるが、そのルールを破った。
2019年アカデミー賞の最大の特徴は、俳優部門だ。これまで俳優部門で受賞は果たすほとんどのパターンが、ノミネート数を着実に重ねて、やっと受賞というのが段取り。
でも今年は俳優4部門(主演男女・助演男女)のうち、実に3部門が初ノミネート&初受賞という結果。多分これまでそんな歴史はないと思う。毎年過去の傾向に合わせて予想してきた筆者の研究が全く意味がなかったということですね
来年からは単純にいいと思った演技を評価しようと思います‥
【完全版】2019年アカデミー賞受賞者一覧
作品賞
グリーンブックが作品賞に輝きました。
ROMA ローマが大本命とされ、もし受賞すれば、Netflix製作では史上初の快挙だったのですが、来年以降にお預けですね。
監督賞
ROMA ローマのアルフォンソ・キュアロン監督が同部門では2度目の受賞。キュアロン監督自身は4度目の受賞と、手腕の高さを証明する形になりました。
下馬評の通り、アルフォンソ・キュアロン監督の受賞です。
主演男優賞
ボヘミアンラプソディーのラミ・マリックが初ノミネート&初受賞。日本でも大ヒットした伝説のバンド クイーンの伝記映画で、主人公のフレディー・マーキュリーの性に対する葛藤と圧倒的スター感を演じきったのが評価されました。
ラミマリックの受賞が大本命とされていました。が、筆者は個人的にバイスのクリスチャンベールだと思ってました‥
主演女優賞
女王陛下のお気に入りのオリビアコールマンが悲願の初ノミネート&初受賞。実在したアン女王をユーモアをたっぷり含み、女の複雑な心情を見事に演じきる。
大本命とされていた天才作家の妻のグレン・クロースは7度目のノミネートながら受賞ならず。史上これほどノミネートされている女優さんで受賞を一度もしていない女優はいないという不名誉な記録を更新‥
助演男優賞
グリーンブックのマハーシャラ・アリが2度目の受賞。黒人俳優としては史上稀にみる短期間での2度目の受賞。名優デンゼル・ワシントンも2度の受賞とタイ。
もう映画にいるだけでカリスマ性がありますよね。
助演女優賞
「ビールストリートの恋人たち」のレジーナキングが受賞。母親として優しさと厳しさの両面を演じきり初ノミネート&初受賞。圧倒的な演技に各方面から絶賛。
脚本賞
グリーンブックが受賞を果たしました。女王陛下のお気に入りが有力候補だと思われていたのですが、本作も受賞も妥当かと。
脚色賞
ブラッククランズマンが受賞!!!!!
正直この受賞が一番嬉しい。本作はKKKに潜入した黒人警官の実話をブラックジョークで包み込んで、今のアメリカ情勢を痛烈に批判する映画です。
スパイクリー監督が初の受賞(功労賞は除く)で、本当に感動するスピーチ。最近大作映画で、プロモーションをバンバンする映画がオスカーを取りやすい時代になってしまった。
本作を理解するのは大変だし、すごく難しい(特に日本人には)。ただこの部門だけでもと思い願っていたので、受賞が決まった時はホッとしました〜
視聴効果賞
ファーストマンが受賞!!!!!この部門の筆者が嬉しかったサプライズ部門。脚色賞と同じで、大量に資金を投入して、CGやSFXで映画を飾る映画がノミネートされた作品では多かった。
下馬評では史上最も製作費をかけた映画「アベンジャーズ3」が受賞するはずだった。
でも蓋を開けてみると、昔ながらの特撮の技術で、観客と一体感を表現した宇宙飛行士ニール・アームストロングの伝記映画ファーストマンだった。
視聴効果賞と脚本賞・脚色部門だけは、割と作風だけで評価される部門なので素直に嬉しい。
美術&衣装デザイン&作曲
「ブラックパンサー」が受賞しました。アクション映画は普通アカデミー賞で評価されることが少ない。そんな逆光の環境の中で3部門の受賞はサプライズ。
女王陛下のお気に入りが取るはずだった枠をしっかり取った本作。それに伴う芸術さと面白さは本作にはあったので満足の結果。
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
バイスが受賞。クリスチャンベールが実在した元副大統領ディック・チェイニーに扮し、イラク戦争の裏側を描いた。
もう本人そっくりな形相に仕草は本部門の卓越さが評価された。
主題歌賞
アリースターの誕生が受賞しました。レディーガガが見事初オスカー。本当に彼女は天才ですね、そう思わされた授賞式でした。
あとブラットリークーパーは多分嫌われてるんだろうね、とも感じられる結果。
この部門のみの受賞になった本作は過小評価されすぎだと正直思いました。主演女優部門の天才作家の妻の"取れない女王"グレン・クロースの二の舞いになりそう。
長編アニメーション映画
スパイダーマン:スパイダーバースが圧倒的な差をつけて受賞。他の4作品と比べても作品の質&制作費が桁違いです。
製作スタッフは1000人規模なのでもう「未来のミライ」が太刀打ちできる相手ではありませんでしたね。
音響編集&録音&編集
ボヘミアンラプソディーがこの3部門+主演男優賞の合計4部門の受賞。まさかの最多ですよ。こんなに評価されるとは思っていなく、サプライズ受賞の連続でした。
撮影&外国語映画賞
ROMA ローマが2部門と監督賞の計3部門制覇。作品賞は逃したものの、最近のメキシコ監督勢の勢いはすごい。
2018年はシェイプオブウォーターでギレルモ・デル・トロ監督が監督・作品賞を制覇。アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は2年連続の監督賞受賞という1940年代以来の快挙を達成。
メキシコ映画の凄さを毎年証明されていますね。
前代未聞のアカデミー賞
最近アカデミー賞は視聴率が低迷しており、アカデミー会員も様々な改善策を出し合っていました。
司会を務める予定だったコメディアンのケビン・ハートが過去の同性愛を批判する発言が取り糺され、降板。
人気映画部門の新設立を測ったが、見送ったり、時間短縮のため不人気の4部門をCM中に発表する案も、批判が相次いで取りやめた。
そんな授賞式前に様々な問題が発生する中で、第91回アカデミー賞は開かれました。
今回の授賞式は今までの傾向とは大きく変わり、来年以降のアカデミー賞のあり方について、大きく舵取りを変更しました。
これまで評価されにくかった作品が評価されたり、過去の傾向とは全く新しい波が今年押し寄せたのです。
下馬評をいつも覆し、サプライズ受賞があるから、アカデミー賞は面白い。来年までこの楽しみはまたお預けですね。これから何を楽しみに生きてゆけば?
びぇ!
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